2012.04.23 Monday
増資インサイダーのカラクリ
旧中央三井アセット信託銀行のインサイダー取引や、SMBC日興証券の顧客への情報流出、勧誘に対して、行政処分の勧告が行われました。いずれも増資に関わるこれらの事件。機関投資家は、増資をどのように利益に結びつけていたのでしょうか。
上場企業が資金を調達する際、新たな株を発行し、投資家から幅広くお金を集めることを公募増資といます。証券会社は企業から増資の依頼を受け、顧客リストの上から順に(つながるまで)電話をかけ、公募株の購入を呼びかけます。一度に大量の株を捌くことになるため、市場の株価よりも3%程度ディスカウントされます。
公募増資を行った企業は、発行済株式数が増加し、ひと株当たりの株価は希釈されます。理論上、株価は下落することになります。
もし、ある企業が公募増資を行うことを事前に知ることができたらどうなるでしょうか。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でスポーツ年鑑を手に競馬をしたのと同じことが起きます。増資公表前に空売りをしかけ、発表と共に下落したところで買い戻すことによって利益を得ることができます。もう上司の機嫌をうかがわなくて済むし、好きな場所に別荘を建てられるし、マクドナルドでクーポンを見せる必要もなくなります。
公募インサイダーは「発表後の売り仕掛け」と組み合わせて行うと破壊力は倍増します。
公表後も継続的に、そして強烈に売りを仕掛け、株価を大きく下落をさせます。通常であれば、いくら空売りで売り崩したとしても、それを手仕舞う買い注文が上昇インパクトになるので、株価は「行って来い」になります。しかし、大きく値下がりしたところで公募株を引き受け(しかも3%引き)、その株を「現渡し」することで、市場インパクトなしに、空売りの利益を確定することができます。証券会社から事前に増資の情報を得た個人投資家は、機関投資家と共にこのスキームに参戦することができました。証券会社はインサイダー情報を利用することで営業しやすくなったことでしょう。
※その後、空売りしている投資家への公募株の割り当ては規制。
私も含め個人投資家は、今回の事件がメディアで報道される前から、誰かが事前に得た情報に基づいてインサイダー取引を行っていること確信していました。公募増資が発表された直後にチャート画面を開くと、数日前から出来高が急増し、すでに株価が下落しているケースがしばしば見受けられたからです。念入りな機関投資家、プロップディーラーは、CFD市場にまで売り注文を入れていました。
しかし、この件について改善を求めるムードは強くありませんでした。なぜなら、個人投資家もこれら増資に便乗した売買をすることで、簡単に利益をあげることができたからです。
今だからブログに書けますが、インサイダー情報などなくても、公募増資銘柄はまるで壊れたスロットマシンのようにコインをはき出してくれました。
今のところ、インサイダー取引を行った場合、その情報を得て売買をした投資家のみが処罰の対象になり、情報を流出させた側はそれだけでは処罰の対象になりません。今後は、米国のように、流出させただけで処罰の対象になっていくと思われます。
そして、投資家は、次なるスロットマシンを探し求めます。
"新機種"については、メルマガで。
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(コメントは筆者のブログにてどうぞ。※要Facebookアカウント)
上場企業が資金を調達する際、新たな株を発行し、投資家から幅広くお金を集めることを公募増資といます。証券会社は企業から増資の依頼を受け、顧客リストの上から順に(つながるまで)電話をかけ、公募株の購入を呼びかけます。一度に大量の株を捌くことになるため、市場の株価よりも3%程度ディスカウントされます。
公募増資を行った企業は、発行済株式数が増加し、ひと株当たりの株価は希釈されます。理論上、株価は下落することになります。
もし、ある企業が公募増資を行うことを事前に知ることができたらどうなるでしょうか。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でスポーツ年鑑を手に競馬をしたのと同じことが起きます。増資公表前に空売りをしかけ、発表と共に下落したところで買い戻すことによって利益を得ることができます。もう上司の機嫌をうかがわなくて済むし、好きな場所に別荘を建てられるし、マクドナルドでクーポンを見せる必要もなくなります。
公募インサイダーは「発表後の売り仕掛け」と組み合わせて行うと破壊力は倍増します。
公表後も継続的に、そして強烈に売りを仕掛け、株価を大きく下落をさせます。通常であれば、いくら空売りで売り崩したとしても、それを手仕舞う買い注文が上昇インパクトになるので、株価は「行って来い」になります。しかし、大きく値下がりしたところで公募株を引き受け(しかも3%引き)、その株を「現渡し」することで、市場インパクトなしに、空売りの利益を確定することができます。証券会社から事前に増資の情報を得た個人投資家は、機関投資家と共にこのスキームに参戦することができました。証券会社はインサイダー情報を利用することで営業しやすくなったことでしょう。
※その後、空売りしている投資家への公募株の割り当ては規制。
私も含め個人投資家は、今回の事件がメディアで報道される前から、誰かが事前に得た情報に基づいてインサイダー取引を行っていること確信していました。公募増資が発表された直後にチャート画面を開くと、数日前から出来高が急増し、すでに株価が下落しているケースがしばしば見受けられたからです。念入りな機関投資家、プロップディーラーは、CFD市場にまで売り注文を入れていました。
しかし、この件について改善を求めるムードは強くありませんでした。なぜなら、個人投資家もこれら増資に便乗した売買をすることで、簡単に利益をあげることができたからです。
今だからブログに書けますが、インサイダー情報などなくても、公募増資銘柄はまるで壊れたスロットマシンのようにコインをはき出してくれました。
今のところ、インサイダー取引を行った場合、その情報を得て売買をした投資家のみが処罰の対象になり、情報を流出させた側はそれだけでは処罰の対象になりません。今後は、米国のように、流出させただけで処罰の対象になっていくと思われます。
そして、投資家は、次なるスロットマシンを探し求めます。
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