2012.04.17 Tuesday
教育バウチャーが日本を救う 〜大学は一校に統合〜
■大学の存在意義
先日、立教大学の吉岡知哉総長が卒業生へ祝辞を述べる際に「大学の存在根拠自体が問われている」と述べたそうです。
日本は、大学全入時代を迎えています。国内約800の大学があり、進学希望者全員が大学へ進学できる状況になっています。そのため、不人気校では定員割れが生じ、入試、広報担当者は頭を悩ませています。私は大学の講師から「経営的理由から学力を問わずに入学させるように言われている」「三角形の面積を求められない学生もいる」といった実状を聞かされています。この問題は、大学だけではなく企業にも及んでいます。これほどの就職難でよい人材を採り放題かと思いきや、企業の8割が「良い学生が採れない」というアンケート結果が出ています。
こうした背景から、「大学に存在意義はなくなった」という意見がありますが、もちろんそんなことはありません。大学はとてもとても重要な役割を担っています、学校法人、大学教職員、文科省などにとって。
ただ、私としては、できることならなのですが、大学が「学生」にとっても役に立つ存在になってくれたらと思っており、ひとつの教育改革案について書いてみたいと思います。
それは、国公立大学の統合と、教育バウチャーの導入です。
■国公立大学の再編、大学の無償化
まず、日本の国公立大学を「国立大学日本」一校に統合します。国立大学日本への入学は、高校卒業、もしくは大検合格にて許可されます。入学に際して選考はありません。入学金や授業料は全て無料です。
■キャンパス、教室
全国の国公立大学の校舎は貸し会議室となります。学生が東京に集まるのではなく、講師の方が全国を行脚します。学生は、地元で学ぶことができます。親のすねは細くならずに済みますし、学生が都内の不動産屋さんに狭いワンルームを押しつけられることもなくなります。
■バウチャー制度
国立大学日本へ入学した学生には、100枚の教育バウチャーが付与されます。教育バウチャーはマイナンバーにひもづけられており、譲渡や売買はできません。
バウチャー1枚を使って、1つの講義を受けます。講義は、文科省に登録されている講義の中から好きなものを受講することができます。一定数の「可」をもらえば学士(大学卒業認定)が与えられます。
講師は学生に対して教育を提供し、学生からバウチャーを受け取ります。講師は受け取ったバウチャーを国に買い取ってもらうことで収入を得ます。
■どんな授業が行われるか
講義の内容は自由です。お金持ちになるための経営学でも、この世の理を知る理論物理学でも、リリアンの編み方でも。塾、予備校、専門学校、語学教室、資格学校、社会人向けセミナー講師、大学講師などが、同じ土俵で競争することになります。現実的には語学や資格取得を目指す人が多いのではないかと思われます。
■講師、講義に対する評価
池上彰さんが講義をすれば波のように人が押し寄せて、高い収入を得ます。一方、現在は教授と呼ばれていたとしても実際のところ学生から不人気の講師は、机と椅子を相手に講義をすることになり、収入はなくなります。
■教育はパブリックドメイン
バウチャーを受け取って提供された教育は、パブリックドメイン(公的財産)として、受講生や国が自由に公開、閲覧することができます。
池上さんなど人気がある講義については、受講した学生や文科省から委託を受けたスタッフによって動画やテキストとしてアーカイブされ、ネットで閲覧可能になります。一度有償で行われた講義は、学生以外も無料かつ自由にその教育を受けることができるようになります。
講師は、継続的な収入を得るためには、新たなコンテンツを創り出す必要があります。もしくは、ゼミやディスカッションなど場を共有して行う教育を提供するという方法もあります。
■講義ごとに選考
講師がゼミ形式のコンテンツを提供する場合、受け入れ可能な人数が限られます。そのため、選考は講義単位で行われます。
■学生に対する評価
もし、AKBの前田敦子さんが「アイドル基礎」という講義を行ったら、床が抜けほどの学生が集まるかも知れません。この講義に税金を投入するのは無駄遣いになるのでしょうか?
無駄かどうかは社会が判断します。バウチャー制度下では、学生の学習履歴も公開情報となります。マイナンバーをキーに、誰がどんな講義を受けたのかを、誰でも知ることができるようになります。
前田敦子の「アイドル基礎」を受講した人を採るか、八田達夫の「経済学」を受講した人採るかは、履歴書を受け取った企業に委ねられます。
それでも「アイドル基礎」を受講人がいるならば、それは国民への福利厚生と思えばよいでしょう。
■学力偏差値
学力偏差値の測定については、TOEICのように年に数回、テストを実施します。企業は採用の際、必要に応じて科目ごとの学力偏差値の提出を求めます。
これにより、たいてい毎年ニュースになる「入試に遅れてパトカーで運んでもらう受験生」がいなくなります。
■生涯、学習
教育バウチャーは生涯有効です。高校卒業後2年間、集中して講義を受けてもいいし、就職して働きながら講義を受けることもできます。例えば、勤続5年目に財務部に転勤になったとき、その時点で簿記の授業を受講することもできます。
■研究機関としての役割
大学には教育だけではなく、研究機関としての役割があります。これを切り分け、研究所には研究費を付与します。
■教育にも競争を
国公立大学の統合と、教育バウチャーによって、教育を受ける側だけでなく、教育を提供する側にも適切な競争原理を働かせることで、日本の教育は強くなります。
(コメントは筆者のブログで書き込み可能です)
先日、立教大学の吉岡知哉総長が卒業生へ祝辞を述べる際に「大学の存在根拠自体が問われている」と述べたそうです。
日本は、大学全入時代を迎えています。国内約800の大学があり、進学希望者全員が大学へ進学できる状況になっています。そのため、不人気校では定員割れが生じ、入試、広報担当者は頭を悩ませています。私は大学の講師から「経営的理由から学力を問わずに入学させるように言われている」「三角形の面積を求められない学生もいる」といった実状を聞かされています。この問題は、大学だけではなく企業にも及んでいます。これほどの就職難でよい人材を採り放題かと思いきや、企業の8割が「良い学生が採れない」というアンケート結果が出ています。
こうした背景から、「大学に存在意義はなくなった」という意見がありますが、もちろんそんなことはありません。大学はとてもとても重要な役割を担っています、学校法人、大学教職員、文科省などにとって。
ただ、私としては、できることならなのですが、大学が「学生」にとっても役に立つ存在になってくれたらと思っており、ひとつの教育改革案について書いてみたいと思います。
それは、国公立大学の統合と、教育バウチャーの導入です。
■国公立大学の再編、大学の無償化
まず、日本の国公立大学を「国立大学日本」一校に統合します。国立大学日本への入学は、高校卒業、もしくは大検合格にて許可されます。入学に際して選考はありません。入学金や授業料は全て無料です。
■キャンパス、教室
全国の国公立大学の校舎は貸し会議室となります。学生が東京に集まるのではなく、講師の方が全国を行脚します。学生は、地元で学ぶことができます。親のすねは細くならずに済みますし、学生が都内の不動産屋さんに狭いワンルームを押しつけられることもなくなります。
■バウチャー制度
国立大学日本へ入学した学生には、100枚の教育バウチャーが付与されます。教育バウチャーはマイナンバーにひもづけられており、譲渡や売買はできません。
バウチャー1枚を使って、1つの講義を受けます。講義は、文科省に登録されている講義の中から好きなものを受講することができます。一定数の「可」をもらえば学士(大学卒業認定)が与えられます。
講師は学生に対して教育を提供し、学生からバウチャーを受け取ります。講師は受け取ったバウチャーを国に買い取ってもらうことで収入を得ます。
■どんな授業が行われるか
講義の内容は自由です。お金持ちになるための経営学でも、この世の理を知る理論物理学でも、リリアンの編み方でも。塾、予備校、専門学校、語学教室、資格学校、社会人向けセミナー講師、大学講師などが、同じ土俵で競争することになります。現実的には語学や資格取得を目指す人が多いのではないかと思われます。
■講師、講義に対する評価
池上彰さんが講義をすれば波のように人が押し寄せて、高い収入を得ます。一方、現在は教授と呼ばれていたとしても実際のところ学生から不人気の講師は、机と椅子を相手に講義をすることになり、収入はなくなります。
■教育はパブリックドメイン
バウチャーを受け取って提供された教育は、パブリックドメイン(公的財産)として、受講生や国が自由に公開、閲覧することができます。
池上さんなど人気がある講義については、受講した学生や文科省から委託を受けたスタッフによって動画やテキストとしてアーカイブされ、ネットで閲覧可能になります。一度有償で行われた講義は、学生以外も無料かつ自由にその教育を受けることができるようになります。
講師は、継続的な収入を得るためには、新たなコンテンツを創り出す必要があります。もしくは、ゼミやディスカッションなど場を共有して行う教育を提供するという方法もあります。
■講義ごとに選考
講師がゼミ形式のコンテンツを提供する場合、受け入れ可能な人数が限られます。そのため、選考は講義単位で行われます。
■学生に対する評価
もし、AKBの前田敦子さんが「アイドル基礎」という講義を行ったら、床が抜けほどの学生が集まるかも知れません。この講義に税金を投入するのは無駄遣いになるのでしょうか?
無駄かどうかは社会が判断します。バウチャー制度下では、学生の学習履歴も公開情報となります。マイナンバーをキーに、誰がどんな講義を受けたのかを、誰でも知ることができるようになります。
前田敦子の「アイドル基礎」を受講した人を採るか、八田達夫の「経済学」を受講した人採るかは、履歴書を受け取った企業に委ねられます。
それでも「アイドル基礎」を受講人がいるならば、それは国民への福利厚生と思えばよいでしょう。
■学力偏差値
学力偏差値の測定については、TOEICのように年に数回、テストを実施します。企業は採用の際、必要に応じて科目ごとの学力偏差値の提出を求めます。
これにより、たいてい毎年ニュースになる「入試に遅れてパトカーで運んでもらう受験生」がいなくなります。
■生涯、学習
教育バウチャーは生涯有効です。高校卒業後2年間、集中して講義を受けてもいいし、就職して働きながら講義を受けることもできます。例えば、勤続5年目に財務部に転勤になったとき、その時点で簿記の授業を受講することもできます。
■研究機関としての役割
大学には教育だけではなく、研究機関としての役割があります。これを切り分け、研究所には研究費を付与します。
■教育にも競争を
国公立大学の統合と、教育バウチャーによって、教育を受ける側だけでなく、教育を提供する側にも適切な競争原理を働かせることで、日本の教育は強くなります。
(コメントは筆者のブログで書き込み可能です)



